第30章 大物登場

「――これで、あんたの厄介ごとはもっと大きくなるわよ」

中山紗奈は眉間に深い皺を刻み、工藤達央へ声を落として囁いた。

「安藤さんも、たぶん容赦しない。あんたの手下の咲子がロイヤルホテルの警備員をあれだけ叩きのめしたんだもの。騒ぎがデカすぎる」

工藤達央は何も言わない。表情は妙に落ち着き払っていた。

その様子に、紗奈は内心で舌を巻く。

もう火の粉が降りかかっているというのに、ここまで平然としていられる人間がどれだけいる。

「安藤さん。大西虎太郎と申します。本日付で江北ロイヤルホテルの支配人に着任いたしました」

大西虎太郎は腰を折り、恭しく名乗った。

「本日、安藤さんにお目にかか...

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